病院内でのDI室(Drug Information室)は、医薬品や副作用情報を収集・管理し、医療従事者に適切な情報提供を行う重要な部署です。薬剤師が中心となり、最新の医薬品情報や副作用リスクの把握・対応、薬事委員会への参画を通じて、患者に質の高い医療を提供するためのサポートを行っています。
DI室の主な業務内容
DI室が扱う主な業務は以下の通りです:
- 医薬品・副作用情報の収集および管理
各種データベースや学術情報を活用し、最新の医薬品や副作用リスク情報を収集。情報の正確性や信頼性を確認し、院内で共有します。 - 情報提供
DI室からの情報提供は、医療従事者や患者に対して行われ、「能動的」と「受動的」に分かれます。- 能動的提供:医療従事者向けの「DIニュース」、患者向けの「薬の窓口」など
- 受動的提供:問い合わせ対応、資料提供
- 薬事委員会への参画
院内での医薬品採用決定に関与し、利益相反を避けるための対策も実施しています(例:接待の制限、定期的な人事異動、院内採用薬の策定)。
情報収集の工夫とAI-PHARMAの活用
医薬品情報を正確に把握し共有するため、DI室では情報源に応じた使い分けが重要です:
- 一次資料:最新の研究結果や臨床試験のデータ(新しいが信頼性に注意が必要)
- 二次資料:学術論文のレビューや要約(一次資料よりも信頼性は高いが、最新情報とは限らない)
- 三次資料:教科書やガイドライン(信頼性が最も高いが、情報更新が遅れる)
こうした資料を効率的に扱うため、AIシステム「AI-PHARMA」を活用。これにより、情報の収集・共有が迅速に行えるため、医療現場での迅速な対応を支えています。
DI室の問い合わせ件数増加と薬事委員会の役割
- 問い合わせ件数の増加
DI室への問い合わせ数は年々増加し、特に病棟配置が進んだ薬剤師からの質問が多く、医師に次いで多い状況です。薬剤師が病棟に常駐することで、薬に関する情報が求められる場面が増えているためです。 - 薬事委員会での貢献
DI室は薬事委員会にも参加し、医薬品の採否に関する意見を述べる重要な役割を担っています。特に、医療の質と病院経営のバランスを取りながら、経済的かつ効果的な薬剤選択が行われるようサポートします。
バイオ後続品と地域フォーミュラリーの導入
DI室が注目する新しい取り組みとして、バイオ後続品や地域フォーミュラリーの導入が挙げられます。
- バイオ後続品(バイオシミラー)
コスト面でのメリットがあり、先行薬と同様の効果を持つことから、利用が広がりつつあります。 - 地域フォーミュラリー
地域全体で使用する薬品リストを統一することで、転院や退院後も同じ薬を継続して使用できる仕組みです。これにより、患者の治療が一貫し、薬への信頼感が高まる効果も期待されています。
まとめ
DI室は、医薬品情報管理の要として病院内外での医療連携を支える重要な役割を担っています。最新情報の活用や、薬事委員会での医薬品選定への関与により、医療の質と効率の両方を支えています。
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