医療現場では、医療安全の徹底が重要であり、その範囲には調剤過誤の防止のみならず、患者さんとのトラブル防止も含まれます。薬剤師や実習生にとっても、医療安全の重要性を認識し、安全な医療提供に貢献することは不可欠です。ここでは、実習生として覚えておきたい医療安全のポイントについて解説します。
患者誤認を防ぐための基本的な確認方法
医療現場において、患者誤認の防止は最も基本的な安全対策のひとつです。患者さんに「フルネームと生年月日」を確認することが推奨されています。これにより、患者さん本人であることをしっかり確認し、間違った投薬や治療のリスクを未然に防ぎます。
以外とこれは国試などでも問われやすいポイントなのです。
しかし、薬剤師が患者さんのフルネームと生年月日を確認する頻度は、臨床検査技師や看護師と比べて低いという現状があります。これは、薬剤師の業務が一部では短時間の対面や窓口での対応に限られるためと考えられます。しかし、特に調剤や薬の投与が正確であることは、患者さんの健康に直結するため、実習生も含めてすべての医療従事者が積極的に患者確認を行う必要があります。
医療安全管理体制の整備と重要性
2010年代以降、国内でも重大な医療事故が発生したことを受けて、特定機能病院に対する医療安全管理体制の強化が進められました。その一環として、各医療機関には医療安全管理責任者や医療安全管理部門を配置し、専任の医師・薬剤師・看護師によるリスク管理が求められるようになりました。これにより、院内での安全確認や誤認リスクが低減し、組織全体での安全体制が強化されています。
このような管理体制の見直しにより、医療事故の減少や患者への安心感が向上しており、今後も医療機関全体での安全対策の維持と改善が期待されています。
実習生が注意すべきポイント
実習中は、特に以下の点に気を付けることが大切です。
- 患者情報の管理
実習では患者情報を含むデータや書類を扱う機会が増えますが、USBメモリや患者情報が記載された紙媒体を院外に持ち出すことは厳禁です。これは、情報漏洩リスクを回避するための基本的な対策です。実習中も情報を院内でのみ管理し、データを適切に破棄または保存することを徹底しましょう。 - トラブル防止のためのコミュニケーション
患者さんとの接点においても、丁寧な態度と礼儀を持って接することが重要です。質問への対応や不安解消に努め、信頼関係を築くことでトラブル防止につながります。 - 医療安全部門との連携
実習生も医療安全部門が実施している安全確認や研修に積極的に参加し、医療安全に対する意識を高めることが望ましいです。安全管理部門の活動や役割について学び、現場での判断力を養いましょう。
医療安全への実習生の貢献
医療安全はすべての医療従事者に求められる責務であり、実習生もその一環として基本的な安全確認やリスク管理を学び実践する必要があります。医療安全管理のルールを理解し、日々の業務で正確かつ丁寧な対応を心がけることで、患者さんや同僚にとって安全で信頼性のある医療環境に貢献しましょう。
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