病院で後発品(ジェネリック医薬品)を導入する際、患者の安全や医療スタッフの効率を保つため、さまざまな観点から慎重に検討することが求められます。価格面だけではなく、形状や添加物、製造元の信頼性など、現場での使い勝手を考慮した選定が重要です。以下に、後発品の選定時に確認すべきポイントを具体的に解説します。
1. 形状と識別性の考慮
- 後発品のみを採用する場合:先発品に近い形状や色であることが望ましいです。患者が違和感なく使用でき、誤服用のリスクが減ります。
- 先発品と併用する場合:逆に、形状や色を異なるものにすることで、医療スタッフが薬剤を識別しやすくなり、取り違え防止に役立ちます。
2. 適応症の違いに注意
- 先発品と後発品で適応症が異なる場合、処方時に用途が制限される可能性があり、実際の現場での運用に支障が出ることがあります。そのため、適応症の範囲も選定時には必ず確認することが重要です。
3. 一包化時の刻印確認
- 後発品を一包化する場合には、錠剤にインクジェット印刷などで一般名が記載されていると識別がしやすく、薬剤管理の負担も軽減されます。病院の多忙な現場では、特に一目で判別できる刻印の有無が重要な要素です。
4. 添加物に関する注意点
- 後発品には、稀にマクロゴール6000など、簡易懸濁法に適さない添加物が含まれていることがあります。経口摂取が難しい患者に合わせて処方をする際、事前に製剤見本で確認を行い、円滑な調剤が可能かを判断することが推奨されます。
5. 製造工場の信頼性と安定性
- 中小企業による後発品の製造は、他社に委託している場合も多く、供給調整の必要が生じた際に工場の稼働状況が不明確である場合があります。特に、災害や需要の変動により供給リスクが生じる可能性があるため、製造工場の情報は事前に確認することが肝要です。
- なお、工場が複数ある企業の製品を採用することで、供給の安定性が向上し、特に医療現場では安定供給が確保されやすくなります。
6. オーソライズドジェネリック(AG)の特徴とリスク
- オーソライズドジェネリックは、先発品と同じ製造プロセスで製造されているため、患者の信頼を得やすい一方で、先発品に欠点がある場合はその点も踏襲されるリスクがあります。患者にとってのメリットとデメリットを理解し、導入を検討することが大切です。
結論
後発品を病院で採用する際には、形状や適応症、添加物、製造工場の安定性など、多角的な視点から検討する必要があります。患者や医療スタッフが安全に、効率的に使用できる薬剤の選定を行うことが、医療の質向上につながります。経済的なメリットだけでなく、現場での利便性や安全性を優先し、よりよい薬剤選定ができるよう努めていきましょう。
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